事業承継の進め方

事業承継を進める

事業承継を進めたいけど何から手を付けていいか分からない。そういったお悩みをお持ちの経営者・後継者の皆様は是非参考にして頂ければと思います。

事業承継は時間がかかります。一般的にプレ事業承継に3年、代表交代に2年、ポスト事業承継に5年、合計10年を要する長期計画が理想とされています。

①経営者が60歳を超えている

②病気のリスクを抱えている

仮に経営者の方が上記2つの条件に当てはまるようであれば、今すぐ事業承継の準備を進めていく必要あります。

事業承継の具体的な進め方

 目次

①自社の企業価値を見直す

いきなり辛辣な内容ではありますが、非常に重要な部分です。

後継者がいるかどうかよりもまず、自社の事業を継続すべきなのか、継続する価値があるのかを判断する必要があります。その為には自社の状況を冷静に見直すことに加えて、場合によっては外部の手を借りて外側から俯瞰的にみてもらうことも必要です。

自社の技術や商品、サービスに対して価値が無いと思っていたことが、実は他にない「強み」であるかもしれません。
逆に自社の「強み」は本当に強みではない可能性もあります。

事業承継は長い時間がかかり、様々な人たちを巻き込む一大イベントとなります。「今後も存続すべき会社なのか」という問いにある程度の答えを出した上で先に進む必要があります。

②後継者を選定する・継ぐ意思の確認

後継者の選定は会社の将来にかかわる重要なイベントです。後継者の選定や育成がうまくいかなかった場合、経営者だけでなく従業員や顧客にも損害を与えてしまうかもしれません。

経営者としての適性がない人物を後継者にしたことで経営が傾いてしまった、従業員からの信頼を得られず優秀な人材が退職してしまったなどの事態に陥る可能性もあります。

事業承継後も安定した経営ができるよう、後継者候補の選定は慎重に行う必要があります。また、いくら資質のある後継者候補でも育成をしなければ組織を運営するのは難しいものです。選定後は時間をかけて後継者を育成することが必要です。

そして大事なことは後継者に意思確認を行うことです。経営者にありがちなのは、頭の中で思っているだけで何も意思表示をしない、継ぐ意思確認をしていないパターンです。

後継者にとってみると、自分が本当に継ぐのか、そもそも継いでいいのかといった迷いやを持っているケースが殆どです。

そのためにも、時間を作り直接承継への思いや考えを伝え、話し合う場の設定が必要です。一対一でもいいですし、可能であれば家族会議を開き、話し合いの場を敢えて作ってみましょう。親父の背中をみても決して意図までは汲み取れません。

③事業承継計画書の作成

後継者が決まり、事業承継を実際に進める段階に入ったら事業承継計画書の作成を行います。

経営者の方の年齢と後継者の年齢をベースに後継者の教育、株式の譲渡、資産の贈与や相続対策といった項目を検討していく必要があります。

この事業承継計画書はこれから行う事業承継の設計図となります。事業承継のスタートは事業承継計画書の作成からといっても過言ではありません。

事業承継計画書の作成にあたっては、まず経営者の方は仕事や身の回りの棚卸しをしましょう。社長として行っている仕事は一体どれほどあるのか。引き継ぐべき仕事や資産は何があるのか。これらの事をいつまでに、どのように引き継いでいけばよいのかを一つずつ計画に落し込んでいきます。

事業承継で引き継がれるものは、以下の3つといわれています。

  • 財産(資産や負債)
  • 経営権(株式、役職)
  • 目に見えない会社の資産(経営理念、風土、人財、人脈)

このように事業承継においては多くのことを承継しなくてはなりません。だからこそ事業承継経計画書を作り、計画的に進める必要があるのです。

併せて作成をお薦めする書類

①家系図(持株比率、株式の種類、資産などを入れる)

事業承継の対策をするにあたり重要なのは、株主構成を把握することです。家系図を作成する際には、株式の保有率以外に下記情報も盛り込みます。

家系図へ入れる情報
・年齢
・所有資産(土地/建物/借地権/現金/株式 他)
・株式の種類(種類株式)
・関係性

図にすることで、自社株の保有率だけでなく他の資産の状況や、相続すべき対象(遺留分の対象)を可視化できます。
この作業により、改めて事業承継のタイミングで行うべき対策が見えてきます。

②100年カレンダー

事業承継計画書が会社の今後の設計図であるのに対して、100年カレンダーは個人の今後の設計図を検討するために使います。「平均余命まであと何年あるか」を改めて確認し、事業承継後の人生設計を立てるのにお役立て下さい。

④後継者の育成

経営者の方の中には後継者の能力不足を指摘する方もいます。しかしながら本当にそうなのでしょうか。経験した場数、年数を考えると同じものを後継者に求めることは本当に合っているのか考える必要があります。

だからこそ、後継者育成のための様々な成長の機会を与えなくてはなりません。

外部に修行に出すのもいいですし、外部研修を受けるのもいいと思います。人事・労務から始まり会社の内外に関して全てを経験させるのが良いでしょう。役職も状況に合わせて変えていく必要があります。

後継者育成に関しても事業承継計画書に落し込み、計画的に進めていくことが望まれます。

⑤資産・株式等への各種対策

株式や資産における各種対策は事業承継を行う上で非常に重要な部分となります。事業承継時には相続や贈与が関わり多額の税金がかかります。何の対策なしに事業承継を行うことはあり得ません。

今や事業承継は国をあげた課題となっており、様々な支援制度が出されています。

知っておくべき法律や制度、テクニックに関して情報を載せていますので参考にしてださい。

事業承継は複雑な問題が多く絡むこともあり、早めの対策を行うことが大切です。少しでも不安やご不明な点がございましたらお気軽にお問合せ下さい。