『2分で読める事業承継コラム』 第⑦回 事例から学ぶ!事業承継はイノベーションを起こす!

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本コラムでは事業承継とイノベーションとの関連性について注目し、早くから事業承継に取り組むことの重要性を伝えています。

第5・6回では先行論文をもとに事業承継とイノベーションの関係性や具体的なポイントをみてきました。第7回では実事例をもとに事業承継をきっかけに後継者がイノベーションを起こした事例をご紹介したいと思います。

第7回 事業承継はイノベーションを起こす!

さて実際に事業承継はイノベーションが起きているのか。先行事例からは白書のデータやデータを使った統計分析などから事業承継とイノベーションの関係を学びました。

品川区にある株式会社小野電機製作所は今年で創業84年を迎える老舗の製造業です。主な事業は研究、開発用ロボットの試作開発や精密部品加工であり、25名の従業員でJAXAをはじめ確固たる日本有数の企業や大学の要望に応えている優良企業です。

今回お話しを聞いた小野真徳取締役は若干31歳!
大学院を卒業後、今の仕事とは関係のない大手ゼネコンで設計業務に従事されていました。その当時は稼業を継ぐことを全く考えていなかったそうです。

(出所)小野電機製作所HPより

株式会社小野電機製作所の転機は2020年でした。ある時お父様、お母さま、息子による家族会議が行われました。その時初めて「継がないか」と誘いを受け、真徳さんはこれを機に継ぐことを決意したそうです。

入社後は後継者として様々な業務に携わり、今は営業部に身を置き会社を引っ張っています。そして、真徳さんが事業承継を進めるにあたって様々な改革に着手します。それは社内制度の改革であり、新製品/新サービスの開発でした。

実際の取り組み事項

  • 第1回事業再構築補助金へのチャレンジ
  • 新規事業のスタート
  • ビジョンの策定による社内の意思統一
  • HPリニューアル
  • DX (勤怠管理、グループウェアの導入)

まず、取り組んだのは事業再構築補助金へのチャレンジでした。業務の棚卸しをしながら今の会社の強み、弱みを洗い出し、今後何に取り組まなくてはならないのか、その為には何が必要なのかを真剣に考え抜きました。

結果は見事に採択。そして新規事業をスタートします。具体的には3Dプリンタを導入し、金属切削加工と融合した事業を展開し始めたのです。

並行して行ったのが会社の長期/中期ビジョンの策定でした。このビジョンの策定は社内に大きな変化をもたらします。具体的な会社の数字を見える化しコミットすることで社内の意思統一を図ることができました。

更にHPのリニューアルに加え勤怠管理やグループウェアを導入。まさに今、国が力を入れているDXを率先して取り組んでいます。

真徳さんはたった1年半でこれだけのことを行ってきました。お父様が勇気を持って息子に対して「継いでほしい」と言った一言が会社に大きな変革を起こしたのです。もし真徳さんが入社しなかったら間違いなく旧態依然の仕組みのまま、ここまで新しい取り組みは出来ていなかったでしょう。

実際に業績にも反映しています。2020年度はご多分に漏れずコロナにより業績が落ち込みましたが、2021年度は2019年度と比較しても業績は上がっており、2022年度も好調に推移しています。間違いなく今後も業績は上がり続けると想像できます。

私が定義するイノベーションとは「新しい知識を利用し顧客の課題解決を行い、社会的・経済的な価値を生み出すこと」を指します。小野電機製作所様は新規事業を通じてお客様の課題を解決し、取引先企業を通じて日本全体に対して多大なる価値を提供し始めています。

今回は小野電機製作所様の事例を取り上げさせてもらいましたが、日本の中小企業は357万社あります。そして事業承継を検討すべき会社は相当数に達しています。これらの会社がそれぞれイノベーションを起こすことが出来たら日本はどれだけ凄い経済圏を作るとこが出来るのでしょうか。

事業承継を少しでも後押しすること、まさに私がこれから取り組むべき使命だと改めて感じたインタビューでした。

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