印刷会社様向けに「取適法(中小受託取引適正化法)」研修会を実施しました

2026年1月1日、下請法が「取適法(中小受託取引適正化法)」へと進化し、印刷業界を含む多くの業種で取引慣行の見直しが求められています。今回、都内印刷会社様のご依頼により、営業担当者を対象とした取適法の社内研修会を実施しましたので、その概要をご紹介します。


学習会の背景

印刷業界では、口頭発注、仕様の後出し変更、無償の校正戻しなど、長年にわたって当たり前とされてきた取引慣行が数多く存在します。しかし2026年1月の取適法施行により、こうした慣行の多くが法的リスクを伴う行為となりました。

今回の対象事業者様においては、DTPデータ作成・デザイン・版下・可変印刷データ・Web入稿用データ整形などの情報成果物作成委託(類型2)、およびアッセンブリ等の製造委託(類型2)が取適法の対象となります。特に、資本金1千万円以下の企業・個人事業主との取引においては、委託事業者として法令遵守が求められます。


学習会で取り上げた3つのテーマ

実務で問題になりやすいポイントを中心に、以下の3つのテーマで学習会を構成しました。

① 発注書の不備

口頭発注や仕様が曖昧なまま作業を開始させることは、発注内容の即時明示義務違反にあたります。発注書には、給付内容(品目・サイズ・色数・用紙・加工など)、納期、納品場所、検査期日、代金額、支払期日・支払方法を漏れなく記載することが必要です。メールでの交付でも問題ありませんが、未定事項がある場合は「未定の理由」と「確定予定日」を必ず明示することが重要です。

② 価格協議の拒否

単価改定の要請があった際に、それを門前払いにしたり、無視・先延ばしにしたりすることは明確な違反行為です。取適法では、協議に応じることが義務付けられており、①要請受領、②事実確認、③社内検討、④協議実施、⑤回答提示、⑥証跡保存(2年)というプロセスを踏み、対応の記録を残すことが求められます。「上げたくないから断る」のではなく、根拠を示して誠実に協議することが重要です。

③ 支払条件の曖昧さ

支払期日は納品から60日以内が原則です。月末締め翌月末払いでも、納品から支払いまでが60日を超えてはなりません。また、施行後は手形交付が禁止され、支払遅延が生じた場合は年14.6%の遅延利息が発生します。振込手数料の差し引き支払いも見直しが必要です。



まとめ

取適法は、中小企業・個人事業主との公正な取引を守るための法律です。一方で、これを正しく理解し適切に対応することは、発注側にとっても取引関係の透明化・安定化につながります。「知らなかった」では済まされないリスクを未然に防ぐためにも、社内での早期の教育・仕組み化が不可欠です。

With-ConsultingLabでは、今回のような業界特性に合わせた取適法の社内研修・コンプライアンス対応支援を承っております。お気軽にご相談ください。

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